治療中からのがん患者支援ができる訪問看護ステーションの設立から2年間の状況をご報告いたします。
■全患者数 86名
■患者さんが利用した保険
医療保険利用者41名(48%)
介護保険利用者34名(40%)
予防介護利用者6名(7%)
医療・介護併用5名(6%)
全国の訪問看護ステーションの平均的な医療保険割合の約30%を大きく超えており、医療依存度の高い患者さんに訪問しています。
■疾患別
がん52名(61%)
心疾患8名(9%)
呼吸器疾患6名(7%)
廃用性症候群6名(7%)
認知症5名(6%)
その他9名(9%)
がんの診断名がある方が全体の61%で、がん専門の訪問看護ステーションとして実績を残すことができるようになりました。
■全がん患者の経過
治療終了・寛解4名(8%)
治療中21名(40%)
がん治療中(27%)
がん治療中であったが中止し終末期となった(13%)
終末期27名(52%)
がん患者さんの40%が治療を継続しているか、治療を予定している方でした。
治療継続中は病院を主治医として通院していることが多いため、訪問看護師は主に①診察前・後のフォロー、②薬物療法後の副作用の支援、③内服薬の管理、④緊急時のバックアップ、⑤独居高齢者の生活支援、⑥医療処置(TPN、ストマ等)、⑦意思決定の相談、⑧家族調整を行っています。
治療をしていたが中止となった方には、訪問看護師が患者さんの人生における治療の意味・治療意欲・今後の希望する生活などを把握します。そして、主治医と患者さんが、診察時に治療方針について効果的に話し合えるよう、病院の外来や連携室の担当者に訪問看護師が得た情報を報告しています。またそういった機会に家族が集まれるようご家族との日程調整を事前に行っています。
■がん患者の平均訪問日数について
・がん治療中の方 264日(n=14)
・がん治療を中止した方 96日(n=7)
・終末期の方71日(n=27)
がん患者さんの訪問看護の継続日数は治療中からがん患者さんを支援することで長期間の看護が可能となることを想定していました。
しかし実際には治療を中止した方と終末期の方の平均値の差は25日となっており、治療中止してから最期を迎えるまでは約3か月、終末期と診断されてから最期を迎えるまで約2か月という傾向がみられました。
■亡くなった方について
・がん32名
在宅19名(59%)、病院・施設13名(41%)
・非がん6名
在宅5名(83%)、施設1名(17%)
訪問看護開始後に亡くなったがん患者さんは2年間で32名でした。約60%の方を自宅で看取りました。
最近では、治療病院の退院支援として、自宅療養+緩和ケア病棟入院までが確定されているケースが増えてきたようです。また通院治療中の患者さんの場合、緊急入院、退院困難となり亡くなるケースもありました。