専門用語『看護介入』に感じる違和感

訪問看護に携わっていると、看護師の技術的な「できること」に関わらず、看護師と患者さん・ご家族との一体感や信頼関係がより重要であることに気づかされます。

 

私が30代のころ、この点に気づかず、技術や知識不足を補うことによって、より良いケアにたどり着けるものと信じていました。この時期、イマイチうまくいかないことが多かったのは、信頼関係をあまり認識していなかったからでした。

 

よく使われる看護師の専門用語に、「看護介入」という言葉があります。nursing interventionを翻訳したキーワードで、『ナーシングインターベンションとは、看護職者が、患者の健康の保持・増進、さらに、最期までその人らしく生きるために、専門的知識や技術を意図的に活用して行う看護援助のことである。』(日本看護科学学会サイトより引用)と紹介されています。

 

70、80歳の患者さんは、(当時の)30歳そこらの若い看護師からの『介入』を希望しているのでしょうか。50~60歳のご家族は『介入』を希望しているのでしょうか。

 

おそらくそういったことではなく、その人を理解しようとする姿勢・質問や疑問にこたえる対話・問題解決などを通じて、築かれた『強固な信頼関係』によって在宅ケアはより建設的なものになります。このようなプロセスは病院の看護師経験だけでは、なかなか体験することはできません。

 

看護師の取り組みによって、患者さんが影響を受け、その影響によって看護師がさらに深く取り組むことができる・・・このような一連のプロセスを、サービス業の用語で『interactive 相互作用』と言います。

 

がん患者さんの意思決定にかかわるACPを進めようとする医師・看護師は多くいます。しかし、その前に信頼関係や相互作用はうまく築けているのでしょうか。その上で、ナラティブな日常会話は成立しているのでしょうか。

 

大切な話をするにあたって自分自身がどう見られているかがとても重要です。私たちのステーションではそういったところから、意識できるように心がけています。

(賢見卓也)