訪問看護に携わっていると、看護師の技術的な「できること」に関わらず、看護師と患者さん・ご家族との一体感や信頼関係がより重要であることに気づかされます。
私が30代のころ、この点に気づかず、技術や知識不足を補うことによって、より良いケアにたどり着けるものと信じていました。この時期、イマイチうまくいかないことが多かったのは、信頼関係をあまり認識していなかったからでした。
よく使われる看護師の専門用語に、「看護介入」という言葉があります。nursing interventionを翻訳したキーワードで、『ナーシングインターベンションとは、看護職者が、患者の健康の保持・増進、さらに、最期までその人らしく生きるために、専門的知識や技術を意図的に活用して行う看護援助のことである。』(日本看護科学学会サイトより引用)と紹介されています。
自宅で療養する患者さんにとって、看護師からの『介入』についてどうとらえるか。ひょっとすると生活を邪魔する人・管理しようとする人に見えるかもしれません。
そのため、訪問看護においては私たちが何かする前に、私たち自身がどう認識されているかを注意深く確かめていく必要があります。
その上で、患者さんの心配事や望んでいること、やって欲しくないことなどを確かめつつ、邪魔しない人・管理しない人として、さらには理解しようとする人・役に立ちそうな人として認識してもらう必要があります。
時間がかかる場合もありますし、すぐにそうなる場合もあります。
その上で、信頼に足るプロセスを介して、さらに深い悩みごとや全く別の相談などが出る場合もあります。このような一連のプロセスを、サービス業の用語で『interactive 相互作用』(バート・ヴァン・ローイ 「サービス・マネジメント-統合的アプローチ」より引用)と言います。
ACPを進めるにあたっては、まずは看護師がどう見られているか、相互作用が機能しているか、ナラティブな語りができているかどうかが前提にあると感じています。
私たちのステーションでは、そういったところを意識したがん看護を目指しています。
(賢見卓也)